大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)725号 判決

控訴人の亡夫林頼太郎が明治三十七、八年戦役に従軍中、明治三十八年八月十二日戦病死したので、控訴人が恩給法の規定により昭和二十一年一月三十一日まで軍人遺族扶助料の支給を受けていたこと、その当時の支給年額が金三百六円であつたこと並びに昭和二十一年勅令第六十八号恩給法の特例に関する件の施行に伴い、その施行の日である同年二月一日以降同令第一条第六号によつて右扶助料の支給が停止せられたことは当事者に争なく、控訴人は、右勅令第六十八号のような命令を以つてしては、恩給法の規定による控訴人の扶助料請求権を剥奪し得べきものではないので、右勅令の規定は扶助料の支給を一時停止したものに過ぎないから、昭和二十七年四月二十八日「日本国との平和条約」の発効と共に右勅令がその効力を失つた結果として、扶助料支給の停止は当然解除せられたものというべく、よつてその停止された日である昭和二十一年二月一日以降昭和二十七年一月三十一日まで満六年間の前記年額による支給停止中の扶助料の支払を求めると主張するので審按するに、前記昭和二十一年勅令第六十八号は大日本帝国憲法下においてその第八条に基ずき公布せられ、その後帝国議会の承諾を得た法律と同一の効力を有する所謂緊急勅令たる昭和二十五年勅令第五百四十二号の委任によつて制定せられた勅令であつて、同勅令により控訴人の主張する軍人遺族扶助料は、その施行の日以降その支給をなさざることとなつたもの、即ち支給の一時的停止ではなく、扶助料請求権が消滅せしめられたものであり、「日本国との平和条約」の発効によつても、過去に遡つて支給が復活するもの控訴人の所謂支給の停止が解除となつたのではないと解する。そしてこのように解する理由はすべて原判決に説示するとおりであるから、同説示の部分をここに引用する。

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